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2014.09.24 (Wed)

イベントのお礼の今後のイベント

SUPER COMIC CITY関西、及び坂道クライムに来てくださった皆様、ありがとうございます!
どちらも私自身は会場へ行っていないのですが、相方のにーなはん(二越さん)が実況してくれるので、まるで行ったような気持ちになっていました。
本当に皆様、ありがとうございます。
次は10月の2つのイベントに参加します。

COMIC CITY SPARK 9
2014年10月12日(日)
西2ホール Z06a
サークル名:PepperBox

二人のゴールは山頂で2
2014年10月13日(月)
申し込み済
サークル名:PepperBox

こちらはどちらの会場にも私も参りますので、どうぞよろしくお願いします。
実は私、弱ペダのサークルさんがいっぱい並んでいるイベントに行くのは、これが初めてです。
弱ペダに転んでから参加したイベントは夏コミ1つ。そして夏コミは東館だったので(弱ペダは西館だったのです)、もの凄く楽しみでたまりません。
いままで同人誌は通販かアニメイト店頭でしか買ったことがないので、いまからわくわくしております。
凄いんだろうなあ……。
そして弱ペダファンのかたも、きっともの凄くたくさんいらっしゃるに違いない……と思うと、わくわくします。
夏にPepperBoxにおいでくださった皆様のお姿を見るだけでも楽しかったですからなあ。
(コスプレのかたあり、キャラグッズいっぱいのかたあり、ヨソの弱ペダ同人誌を抱えてらっしゃるかたありと、皆様輝いてらっしゃいましたわ)

そんなわけでいろんな意味でどうぞよろしくお願いします。

さて秋の新刊ですが――厳密には新刊と言っていいのか微妙なところです。
というのは、坂道クライムの新刊「巻ちゃんヘソはならんよ」(コピー本)を、「巻ちゃんヘソはマジでならんよ」と少しだけタイトルを変更し、増ページオフセット再版したものが新刊になるからです。

へそマジ表紙600

B5/32ページ/500円

なおコピー本を買ってくださった皆様、コピー本をお持ちくだされば、その本+差額200円で、オフセット本とお引き換えしますのでイベント時におっしゃってください。

中身のサンプルはこちらになります。

※週刊少年チャンピオン(単行本未収録分)
月刊少年チャンピオン(スペアバイク東堂)
劇場版弱虫ペダル「Re:RIDE」
のネタバレが含まれています。

漫画
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=45999097
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=46097469

小説
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4345863

書店通販は、とらのあな、K-BOOKS、フロマージュで取り扱っていただけることになりました。

とらのあなでは予約が始まっています。
http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/24/35/040030243540.html

これとは別に、あと1冊新刊が出せたらいいなと思っています。

それはそれとして、ネット用に小説を連載をしたいなあと思っています。
箱根学園文化祭だ! ……と、怜星学園の文化祭も途中じゃないかと反省しつつ……。
怜星学園でやりそこねた、劇ネタを箱学でやってみたくてたまらないのですよ。

そんなわけでこの二つの野望が達成できましたあかつきには、どうぞよろしくお願いします。

拍手をありがとうございます。
Twitterでは二人がかり(二越さんと私)で毎日呟いたり、いろんな公式情報を流したりしていますので、よろしければ見てやってください。
毎日毎日、新ネタが飛び込んでくるので、なんだか慌ただしいです(でも嬉しい)。
https://twitter.com/PepperAnnex
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23:40  |  イベント  |  EDIT  |  Top↑

2014.08.22 (Fri)

夏コミのお礼と書店通販

遅くなりましたが、夏コミにおいでくださった皆様、本当にありがとうございます!
とにかく慌ただしかったので、いろいろいただいていながら、ろくにお礼もできないままでありました……。
すみません。そしてありがとうございました♪

次は大阪インテのイベントに参加します。
SUPER COMIC CITY関西20
8月24日(日曜日) 4号館ウ28b
サークル名:PepperBox


私は会場へ行けませんが、二越さんは参加します。
既刊新刊はコミケと同じですので、どうぞよろしくお願いします。

さて現在既刊・新刊共に書店通販をしています。

とらのあな
K-BOOKS
コミコミスタジオ

こちらもどうぞよろしくお願いします。

次の更新は怜星学園の文化祭の続きにするか、弱ペダのほうにするか考え中です。
おそらく近いうちにどちらかはUPすると思います。
そのときには是非読みに来てやってください。

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↑よろしければ押してやってください。
 次にネットにUPする弱ペダ小説はきっと「イギリスではなく、世界の終わりだ!」みたいな話になるかと思います。
 最初は普通の話にしようと思ったのですが、地味かなあと反省しまして……。
 反省しないほうがいいのではという気もしてなりません。

拍手をありがとうございます!
夏コミお疲れ様でした。今年は涼しくてよかったです。
またちょくちょくイベントに参加しますので、ご縁があればどうぞお立ち寄りください♪
04:11  |  同人誌  |  EDIT  |  Top↑

2014.08.15 (Fri)

夏コミと関西のスパコミのお品書き

いよいよ期日が迫ってまいりました!

コミックマーケット86
8月16日(土曜日) 東地区 "ロ" ブロック 01a
サークル名:PepperBox

SUPER COMIC CITY関西20
8月24日(日曜日) 4号館ウ28b
サークル名:PepperBox

今回の新刊はこんな感じです。すみません、弱ペダばっかりで。

その1
あの日yoko600

神無月ふみ小説個人誌(東巻)
A5 108ページ 900円です。

サンプルはこちら。
第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 第六回 第七回 第八回

書店予約も始まっています。
コミコミスタジオさん
K-BOOKSさん
とらのあなさんでも通販予定です。


その2
yoko600積乱雲表紙

二越としみ漫画個人誌(東巻)
B5 28ページ 400円です。

サンプルはこちら。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=45344458

こちらも書店通販をする予定です。
(フロマージュさんととらのあなさんと、おそらくK-BOOKSさん)


その3
とら用ラブコール表紙

これは二越としみ&神無月ふみで描いています。
B5 52ページ 700円です。

漫画のサンプルはこちら。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44509047

小説のサンプルはこちら。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4008033


その4(こちらはオリジナルです。J.GARDEN新刊で、コミケ初売りです)
ねこにっき20140305001934251

A5 28ページ 300円
宇宙ジャコウネコシリーズの大人組の話です。

その他既刊(オリジナル)も持って行きます(卓上には並べられないと思いますが、おっしゃってくださいましたらお出しします)。
http://pepperbox2010.blog103.fc2.com/


どうぞよろしくお願いします。


00:33  |  イベント  |  EDIT  |  Top↑

2014.08.15 (Fri)

あの日、あのとき、この町で 第八回(サンプル)

第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 第六回 第七回

------


     6

 ――ここは本当に四年前なのか? でもオレはどうやってここに来たんだ。
 いまは夢を見ている最中なのだろうか。
 夢にしては目の前にいる巻島は現実味がありすぎる。
 ――四年前だとすると、この巻ちゃんは中学二年か。もしもこの巻ちゃんが、あの巻ちゃんだったらの話だが……。
 ずっと巻島と復縁する方法を考え続けていたせいで、幻覚を見たのかもしれないとも思ったが、それなら中学生の巻島ではなく高校生の巻島が出てくるはずである。そもそも幻覚を見るほど自分がおかしくなっているとは思いたくなかった。
 ――まず、ここが本当に四年前か確かめなければならんな。もしかしたら、この巻ちゃんっぽい少年のほうが違うところから来たのかもしれないからな。
「あの、名前……」
 巻島の声に、東堂は我に返った。
 相手の名前を聞くだけ聞いて、自分が名乗っていなかったことを思い出す。
「ああ。オレは――」
 東堂尽八だと言おうとした瞬間、またひどい耳鳴りがする。
 自分の身におかしなことが起きてから、体調が悪くなったのだろうか。
 東堂は顔をしかめ、頭を押さえた。
 音は一向に収まらない。まるで東堂に本名を名乗らせないようにしているかのようだ。
 ――もしもここが本当に四年後だとしたら……オレが未来人だから本名を言ってはいけないのか? 歴史が変わってしまうとか……。
 東堂が巻島と会うのは、本来ならいまから三年後だ。いま巻島が「東堂尽八」に会ったことになるのは、非常にまずいことなのかもしれない。
 ――ケータイを出したときも耳鳴りがひどかったからな。
 東堂の持っている携帯電話は、四年前には存在しなかった機種である。ごく普通の折りたたみ式とはいえ、見る人が見ればこの時代のものではないとすぐに分かるだろう。
 耳鳴りはおそらく警告だ。無視して行動を起こすと大変なことが起きるのかもしれない。
 東堂は頭を押さえながら必死で考える。
 ――偽名を名乗らなければダメなのか? しかしカッコ悪い名前は嫌だし、もしも呼ばれて気づかなかったら、よけいにまずいぞ。それに巻ちゃんらしい少年に別の名前で呼ばれるのも楽しくないな。
 どこまで自分の名前に近ければいいだろう。東堂は試すつもりで、耳鳴りに負けない声で言う。
「オレは山神――」
 自分の二つ名は問題ないらしい。では本名に近い名前だとどこまでかまわないだろうか……。
「山上さん、ですか」
 巻島は確認するように訊いてきた。
 同時に耳鳴りが、ぴたりと治まる。
 ――もしかして巻ちゃん。ヤマガミというのをオレの名字だと思っていないか?
 耳鳴りが止まったのは、山神という別名が偽名として認識されたせいかもしれない。
 山神と山上とでは、音は同じだが印象はまるで違う。しかし自分の本名と似ても似つかない偽名を名乗るより、なじみはあった。
 東堂は胸を張る。
「そうとも、オレは山上だ。そう呼びたいなら、いくらでも呼ぶといい」
「はあ……」
 東堂の性格を掴みかねているらしく、巻島は困惑したように眉を寄せた。黒髪で短い髪になっているが、表情は高校生の巻島と全く同じである。
 語尾に「ショ」をつけるいつもの口癖が出てこないのは、おそらく敬語を使っているせいだろう。
 ――目元と口元に、ほくろはあるな。やっぱり彼は四年前の巻ちゃんか……。
 そう思うと、いままで以上にかわいい少年に見えてきた。年齢は違えど東堂にとって「大好きな巻島裕介」なのである。
「ところでオレはどうやってここに来たのか、巻……」
 耳鳴りがした。巻ちゃんと言ってはいけないらしい。
「え、ええと……ゆ、裕介くんは知っているかね?」
 耳鳴りは収まった。四年後に呼ぶあだ名は駄目でも、巻島の本名はかまわないらしい。巻ちゃんという呼び名は、東堂以外誰も使わないから駄目なのだろう。
「裕介……くんですか」
 巻島は面食らっていた。どうやら他人に名前のほうで呼ばれることがあまりないらしい。
「名字のほうがいいのかね?」
 いままで巻島のことをちゃんと名字で呼んだことがなかったので、きちんと呼べるか心配になってくる。東堂は巻島のことを「巻ちゃん」と呼ぶ前は、緑の髪と赤メッシュのせいで「タマ虫」などと呼んでいたのだ。
「いや、裕介でいいっす」
 巻島の敬語が少しくだけた調子になった。どうやら嫌ではないらしい。
 東堂は安心すると同時に、少し嬉しくなる。
 ――もしかしてオレ、巻ちゃんのことを下の名前で呼ぶのは初めてじゃないのか?
 巻島は「巻ちゃん」という感じがしたので、いままで問答無用にそう呼んでいた。しかし「裕介くん」と呼ぶのも悪くない気がしてくる。
 ――それに黒髪の小さい巻ちゃんは、四つも年下のせいか「裕介くん」って感じがするからなあ。
 東堂がにやけていると巻島は、ぼそりと訊く。
「山上さん、どうやってここに来たのか、全然覚えてないんすか?」
「覚えていないというか……」
 正確には「何が起きたのか、さっぱり分からない」のだ。
 東堂が黙り込んでいると、急に賑やかな音楽が鳴った。
 巻島は緑色の携帯電話を取りだし、通話ボタンを押す。
「もしもし。……あ、宮田さん」
 ――宮田さん。
 東堂は顔を引きつらせる。
 バレンタインデーの夜以来、巻島が他人に対して、さん付けで呼ぶことに過敏になっていた。誰もが巻島の好きな相手に思えてしまうからである。
 巻島は楽しげに電話で話をする。
「大丈夫。オレ、もう子供じゃないし……だから添い寝してもらわなくても平気っショ」
 ――添い寝だと!?
 聞き捨てならない言葉に、東堂の眉がつり上がった。
 しかも巻島はくだけた口調で電話をしながら、照れくさそうに笑っているのだ。
 ――巻ちゃん……いい笑顔ではないか。オレなんか変な笑顔でさえ、ろくに見たことないのに。何者だ、宮田というヤツは!
 心の中で激しい嫉妬の炎が渦を巻く。
 ――きっとこの宮田が、巻ちゃんの心を弄んだ張本人の「背の高い大人っぽい年上の人」だ。そうに違いない。おのれ、宮田……。ここが本当に四年前の世界なら絶対に顔を見て、必ず文句を言ってやる!
 東堂は決意した。
 自分がここに来たのは神社の神か、池の主の仕業なのか分からない。だが来た理由はきっと、巻島のずっと好きだった相手を調べるためなのだ。
 もっともそれが東堂に巻島を諦めさせるものなのか、それともその相手と巻島の仲を引き裂くためのものなのか分からないのだが。
 ――巻ちゃんの好きな相手の最有力候補は宮田だな。どうにかして顔を見なければ……。
 考え込んでいると、巻島が電話を切った。
「あ……終わったっす。話、途中ですみません」
「いや、かまわないよ」
 東堂は年上の余裕を感じさせるように、にっこり笑う。
 巻島が年上タイプが好きなら、自分もそれに合わせたくなったのだ。
 幸いいまの自分は巻島より四歳も年上である。謎の宮田相手に勝つとまではいかなくても、互角の勝負に持ち込みたかった。
 東堂は邪魔な前髪をかき上げた。そして額に汗をかいていることに気づく。
 携帯電話の日付が合っているなら、いまは真夏である。太陽が照りつけ、セミが鳴いているような時期に長袖の春服を着ているのだから暑くて当然だ。
 このまま巻島と話を続けるなら、まず場所を移動すべきだろう。
「裕介くん。こんな暑いところじゃなくて、ゆっくり喋れるところへ行こうか」
「……そうっすね」
 巻島は池に背を向け、神社に向かって歩き始める。
 その横顔は何故か少し笑っているような気がした。

-------


夏は2つのイベントに出ます。

コミックマーケット86
8月16日(土曜日) 東地区 "ロ" ブロック 01a
サークル名:PepperBox

SUPER COMIC CITY関西20
8月24日(日曜日) 4号館ウ28b
サークル名:PepperBox

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 普通の学園ものに見えて、タイプスリップものでした……。
 私は楽しかったのですが「コラ、いきなりそんな路線かよ!」と思われていたりして……!?

拍手をありがとうございます!
明日からコミケですね。なんかもう、あっという間でした。
PepperBoxは土曜日の参加になります。どうぞよろしくお願いします。

おまけ
山上さんというアレを見て、二越さんが描いてくれました。

やまがみさん

ちび巻ちゃん、とてもかわいいです♪

00:08  |  小説  |  EDIT  |  Top↑

2014.08.14 (Thu)

あの日、あのとき、この町で 第七回(サンプル)

第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 第六回

------


     5

 自分のショルダーバッグが普段よりも重く感じた。歩いていても、身体に重しをつけられて沈められているような気がする。
 ゴールデンウィークは天気が崩れることが多いというが、今日は恨めしくなるほど晴れていた。
 このまま箱根に帰る気にもなれず、総北高校からバスにも乗らなかった。
 道沿いをぼんやり歩いていると「天ノ谷神社はこちら」という看板を見つけた。
「神社……か」
 東堂は登り最速の男であるゆえに「山神」という二つ名を持っている。ゆえに神と名の付くものには敏感だった。実家が商売をしているせいもあって、普段から神社に対して敬意を払っている。
 ――どうせ早く帰っても今日は部活欠席届も出しているし、ゴールデンウィーク中は家にいたら手伝いばかりさせられるからな。
 東堂は矢印の示すとおり、天ノ谷神社のほうへ向かった。いまは特に願掛けをしたくてたまらない気分なのである。
 案内の示すとおりに進むと、神社を囲んでいる鬱蒼とした木々が見えてきた。
 道路沿いから中に入ったせいで自動車や家が減り、急に静かになる。聞こえるのは鳥の鳴き声と葉擦れの音だけだ。
 さらに歩いてゆくと、白い石でできた鳥居が見えた。東堂は鳥居をくぐる。
 境内には誰もいなかった。
 行く道を示す看板があったので大きな神社かと思っていたが、実際は神主が常駐していない小さなものである。
 普段は犬の散歩に来る人が居そうな雰囲気だが、連休中の昼間のせいか静まりかえっていた。
 東堂は手水舎で手を洗ったあと、拝殿に向かう。
 財布と相談した結果、賽銭は五百円玉にすることにした。
「巻ちゃんと、百回ご縁がありますように」
 という、願いを込めたつもりである。
 東堂は二礼をしたあと、手を打ち鳴らす。
 ――巻ちゃんと復縁しますように。
 つき合い始めは、巻島の気持ちがこちらに向くまで、気長に待つつもりだったのに、どうして試すような真似をしてしまったのだろう。
 どうすればもう一度やり直すことができるか、真剣に考えなければならない。
 参拝が終わって帰ろうとしたとき、拝殿の左側に上り坂が続いていることに気づいた。
 大きな神社であれば、その先に奥の院があるのだろう。だがこんな小さな神社にそんなものがあるとは思えなかった。
 東堂は興味を引かれ、左側の道を行くことにした。
 道沿いには大きな楠の木が何本も生えていた。生い茂った葉は空を覆い尽くし、あたりを薄暗くしている。
 太陽の光が僅かしか届いておらず、新緑の季節にもかかわらず葉が鮮やかな緑に見えない。そのくせ、いたるところに落ちている真っ赤な椿の花は、地面にできた染みのようで妙に目についた。
 歩いているうちに、東堂は周囲が無音であることに気づく。
 街の喧騒から離れたところではあるが、さきほどまで聞こえていたはずの鳥のさえずりも虫の羽音も風の音も、いまでは完全に消えていた。
 長い間、歩いているような、それでいて時間が経っていないような気がしてくる。歩いているのに暑くならず、妙に肌寒い。
 引き返そうかと思った瞬間、目の前が開けた。
 そこには小さな池があった。
 対岸もはっきり見え、一周するのに五分もかからないだろう。木々は池を囲むように生えており、四方八方に伸ばした枝が空を狭めている。そのせいで周囲は相変わらず薄暗かった。
 東堂はショルダーバッグを地面に起き、池の縁から覗き込む。
 木の影が水面に映って見づらいが、フナのような黒っぽい魚が何匹かいるようだ。水草が生え、落ち葉も浮いているが水は綺麗である。
 ――普通の池だよな。
 ここまで来る間の感覚がおかしかっただけに、拍子抜けする。
 どうやら特に変わったものもないらしい。東堂は元来た道を帰ろうとした。
 突然強い風が吹き、木々が揺れた。水面の影も揺れ、魚も逃げてゆく。
 風になぶられた髪を押さえ、撫でつけていると、カチューシャが落ちた。
 拾おうとして池の縁にかがんだとき、池の表面のさざ波が不意に消える。
 水面が黒い鏡のようになったかと思うと、人の顔が映し出された。
 自分の姿かと思ったが、よく見ると違う。
 困ったように眉尻が下がっているせいで、幸薄い印象を与える、よく見知った顔だ。
 ――巻ちゃん!?
 思わず後ろを振り返った。
 しかし背後には誰もいない。
 東堂は唾を飲み込む。
 幽霊だとは思いたくなかった。とにかくもう一度池を確認しなければならない。そう考えたとき。
 突然腕を誰かに掴まれ、引っ張られた。不意を突かれて東堂はバランスを崩す。
 池に落ちる――と思った瞬間、周囲が真っ暗になった。
 深い穴の中に、どこまでも落ちてゆくような感覚がする。
 何が起きているのか、さっぱり分からなかった。
 池の中に化け物がいて、いま自分は池の底に引きずり込まれているのだろうか。
 しかし水の感触はない。ただひたすら落下している気がするだけだ。
 不意に、身体が浮き上がった。
 そして見えない力で、無造作に地面に転がされる。
「……っ」
 東堂は身体を打ち、痛みに顔をしかめた。
 池を覗き込んでいたはずなのに、謎の力で池のそばに横倒しにされたらしい。
 ――いまのは、何だったんだ。
 東堂は右側からゆっくり周囲を確認する。
 暗かった池の周辺はいつの間にか明るくなっており、木々も鮮やかな緑になっていた。黒く見えていた池も、いまは澄んだ水が光に照らされて輝いている。
 視線を左側まで移動させたとき、東堂は驚きのあまり声を上げそうになった。
 誰もいなかったはずなのに、一人の少年がいる。
 少年の目は驚きに見開かれ、腰を抜かしたように地面に座り込んでいる。視線は東堂に釘付けだ。
 困ったように下がっている眉尻と長いまつげに縁取られた目が特徴的な顔だ。色が白く、目元と口元にほくろがある。幸薄い印象はあるが、かわいい少年といっていいだろう。
 東堂が驚いたのは容貌が綺麗だからではない。
 少年が巻島に、そっくりだったからだ。しかも巻島と違って髪が黒い。
 ――巻ちゃんに弟って、いたっけ?
 以前聞いたときは、男の兄弟は兄しかいないと言っていた。
 だとすると巻島の親戚だろうか。赤の他人にしては、あまりにも似すぎている。
 東堂は少年を観察しようとするが、前髪が邪魔で見づらい。いつもしているカチューシャは、落としたあと拾い損ねていたからだ。
 何度も前髪をかき上げたあと、東堂は少年のほうへと身を乗り出す。少年が怯えたようにビクンと震えたので、東堂は慌てて言う。
「驚かせるつもりはないんだけど……キミ、名前……」
 言い終える前に、おかしなことに気づいた。
 池に来る途中は、世界中から音が消え失せたかのように無音だった。
 いまは周囲の音が戻っている。
 周囲からは真夏でしかありえないような、にぎやかな蝉の声が聞こえた。
 ――いまはゴールデンウィーク中のはずだぞ。
 東堂は額に汗がにじんでいることに気づき、手で拭う。
 この蒸し暑さは春ではなく夏特有のものだ。目の前にいる少年も、左右非対称の模様が入っている半袖のシャツを着ている。
 ――今日は、いつなんだ?
 東堂はポケットから携帯電話を取り出した。
 次の瞬間、頭の中にジェット機が通ったような、強烈な耳鳴りがする。
 ――オレは頭でもぶつけたのか?
 東堂は日付だけ確認すると、すぐに携帯電話をしまった。
 耳鳴りは、ぴたりと治まる。頭の中に耳鳴りを発生させるスイッチが作られていて、いまオフにしたかのようだ。
 しかし液晶画面に映っていた文字は、耳鳴りよりも恐ろしい事実を告げている。
 今日の日付は八月十三日。
 しかも四年前だ。
 いつの間に携帯電話の時間が年単位で狂ってしまったのだろう。
 それとも……。
 ――そんなこと、あるはずがないだろう!? 単に電話が壊れただけだ。
 携帯電話だけでなく、新聞などの別の媒体でも日付を確認しなければならない。
 東堂は勢いよく立ち上がると、少年は我に返ったかのように口を開く。
「あ、あの、オレは……」
 声を聞いて東堂は、どきりとする。少年は顔だけでなく声まで巻島にそっくりだったのだ。
 少年は意を決したように立ち上がる。
「オレは巻島裕介といいます」
 息が止まりそうになった。
 この少年とあの巻島が赤の他人である確率は、どのぐらいだろうか。
 東堂が絶句していると、少年――巻島は立ち上がる。
 身長は東堂よりも、十五センチほど低い。高校生の巻島と向かい合ったときより、ずっと目線が下になった。
 巻島は顔を上げ、精一杯の勇気を振り絞ったような目で東堂を見つめる。
「あの……貴方はどなたですか?」
 東堂は何から言えばいいか分からず、ただ「小さい巻ちゃん」を見つめることしかできなかった。

続きはこちら。

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サークル名:PepperBox

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 いま気づいたのですが、今日は8月14日。
 作中の東堂さんがタイムスリップしたのは8月13日か! ……と、ちょっと驚きました(偶然です)。


拍手をありがとうございます!
pixivにUPしたサンプルは今日の分までなのですが、せっかく明日はコミケ初日なので(といっても私が参加するのは二日目ですが)、明日も続きをUPしてみます(そして東京に行ってまいります)。

コミケに参加なさる皆様、どうぞ熱中症にお気を付けて!
00:15  |  小説  |  EDIT  |  Top↑
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